Javaプログラムを実行していると、突然StackOverflowErrorというエラーが発生することがあります。このエラーは初心者にとって理解しにくいものですが、原因と対処法を知れば解決できます。この記事では、StackOverflowErrorの原因と対処法をわかりやすく解説します。
エラー内容
StackOverflowErrorは、スタック領域がオーバーフロー(あふれる)したときに発生するエラーです。Javaでは、メソッドを呼び出すたびにスタックと呼ばれるメモリ領域に情報が積み重なります。この積み重ねが限界を超えると、エラーが発生します。
エラーメッセージの例は以下の通りです。
// StackOverflowErrorが発生する例
public class StackOverflowExample {
public static void main(String[] args) {
recursiveMethod();
}
// ここで recursiveMethod() を呼び出すと
// StackOverflowError が発生します
public static void recursiveMethod() {
// 自分自身を無限に呼び出す
recursiveMethod(); // 終了条件がない!
}
}
実行結果:
Exception in thread "main" java.lang.StackOverflowError
at StackOverflowExample.recursiveMethod(StackOverflowExample.java:8)
at StackOverflowExample.recursiveMethod(StackOverflowExample.java:8)
at StackOverflowExample.recursiveMethod(StackOverflowExample.java:8)
...
終了条件のない再帰呼び出しにより、スタックが溢れてエラーが発生します。エラーメッセージには同じ行番号が何度も表示されます。このエラーは、スタック領域がオーバーフローしたときに発生します。
スタックトレースの見方
StackOverflowErrorが発生したとき、スタックトレース(エラーメッセージ)を読むことで、エラーが発生した箇所を特定できます。スタックトレースの見方を覚えると、原因の判別が早くなります。
スタックトレースの基本構造
スタックトレースは、エラーが発生した場所から、呼び出し元へと順番に表示されます。上から下に向かって、エラーが発生した箇所を追跡できます。
Exception in thread "main" java.lang.StackOverflowError
at StackOverflowExample.recursiveMethod(StackOverflowExample.java:8)
at StackOverflowExample.recursiveMethod(StackOverflowExample.java:8)
at StackOverflowExample.recursiveMethod(StackOverflowExample.java:8)
...
このスタックトレースの見方:
- 1行目: エラーの種類(StackOverflowError)とスレッド名(main)
- 2-4行目: 同じ行番号(8行目)が繰り返し表示されている。これは無限再帰が発生していることを示します
重要なポイント
スタックトレースを見るときは、同じ行番号が繰り返し表示されている箇所を確認することが重要です。この例では、`StackOverflowExample.java:8`が繰り返し表示されており、この行で無限再帰が発生していることがわかります。
同じ行番号が繰り返し表示されている場合、その行で無限再帰が発生しています。スタックトレースを読めるようになると、エラーの原因を素早く特定できます。
何が原因か
StackOverflowErrorが発生する根本的な原因は、スタック領域がオーバーフローすることです。
Javaでは、メソッドを呼び出すたびにスタックと呼ばれるメモリ領域に情報が積み重なります。メソッドが終了すると、スタックから情報が取り除かれます。しかし、メソッドが終了せずに呼び出しが続くと、スタックが溢れてStackOverflowErrorが発生します。
よくある原因パターン
StackOverflowErrorが発生する主な原因パターンを、具体的なコード例で確認しましょう。
パターン1: 終了条件のない再帰呼び出し
最も多い原因は、終了条件(ベースケース)を設定し忘れた再帰呼び出しです。
// ここで終了条件がない再帰呼び出しをすると
// StackOverflowError が発生します
public static int factorial(int n) {
return n * factorial(n - 1); // 永遠に呼び出し続ける
}
// 終了条件がないと、メソッドが永遠に自分自身を呼び出し続けます
終了条件がないと、メソッドが永遠に自分自身を呼び出し続けます。必ず再帰を止める条件を設定しましょう。終了条件のない再帰呼び出しは、StackOverflowErrorの主な原因です。
パターン2: 終了条件が満たされない再帰呼び出し
終了条件はあるものの、その条件に到達できないケースもあります。
// ここで終了条件に到達しない再帰呼び出しをすると
// StackOverflowError が発生します
public static void countdown(int n) {
if (n == 0) {
System.out.println("終了!");
return;
}
System.out.println(n);
countdown(n + 1); // 増加しているので0にならない
}
// 終了条件はあっても、引数の変化が逆方向だと条件に到達できません
終了条件はあっても、引数の変化が逆方向だと条件に到達できません。ロジックをよく確認しましょう。終了条件が満たされない再帰呼び出しは、StackOverflowErrorの原因になります。
パターン3: メソッド間の無限呼び出し
2つ以上のメソッドが互いを呼び出し続けるケースです。
// ここで methodA と methodB が互いを呼び出すと
// StackOverflowError が発生します
public class MutualRecursion {
public static void methodA() {
methodB();
}
public static void methodB() {
methodA(); // methodAを呼び出す → 無限ループ
}
}
// methodAがmethodBを呼び、methodBがmethodAを呼ぶため、無限に繰り返されます
methodAがmethodBを呼び、methodBがmethodAを呼ぶため、無限に繰り返されます。メソッド間の無限呼び出しは、StackOverflowErrorの原因になります。
パターン4: 深すぎる再帰
終了条件があっても、再帰の深さが深すぎるとスタックが溢れます。
// ここで大きな数値で再帰をすると
// StackOverflowError が発生します
public static int sum(int n) {
if (n == 0) {
return 0;
}
return n + sum(n - 1);
}
// sum(100000) を呼び出すとStackOverflowError
// 大きな数値で再帰を行うと、正しいロジックでもスタックが溢れることがあります
大きな数値で再帰を行うと、正しいロジックでもスタックが溢れることがあります。深すぎる再帰は、StackOverflowErrorの原因になります。
正しい対処法(サンプルコード)
StackOverflowErrorを回避するための正しい対処法を、具体的なコード例とともに解説します。
対処法1: 終了条件を正しく設定する
public class CorrectRecursion {
public static void main(String[] args) {
int result = factorial(5);
System.out.println("5! = " + result);
}
// ここで終了条件を明確に設定すると
// StackOverflowError は起きません
public static int factorial(int n) {
// 終了条件を明確に設定
if (n <= 1) {
return 1;
}
return n * factorial(n - 1);
}
}
実行結果:
5! = 120
終了条件があれば、再帰は正しく終了します。終了条件を正しく設定することで、StackOverflowErrorを安全に回避できます。
対処法2: 再帰をループに置き換える
深い再帰が必要な場合は、ループで書き換えることでスタックオーバーフローを回避できます。
public class LoopVersion {
public static void main(String[] args) {
long result = sumLoop(100000);
System.out.println("1から100000までの合計: " + result);
}
// 再帰版(StackOverflowErrorが発生する可能性)
public static long sumRecursive(int n) {
if (n == 0) return 0;
return n + sumRecursive(n - 1);
}
// ここでループ版を使うと
// StackOverflowError は起きません
// ループ版(安全)
public static long sumLoop(int n) {
long sum = 0;
for (int i = 1; i <= n; i++) {
sum += i;
}
return sum;
}
}
実行結果:
1から100000までの合計: 5000050000
ループ版はスタックを消費しないため、大きな数値でも安全に動作します。再帰をループに置き換えることで、StackOverflowErrorを安全に回避できます。
対処法3: スタックサイズを増やす(一時的な対処)
JVMオプションでスタックサイズを増やすことも可能です。ただし、根本的な解決にはなりません。
# ここでスタックサイズを2MBに設定して実行すると
# StackOverflowError を一時的に回避できます
# スタックサイズを2MBに設定して実行
java -Xss2m YourProgram
# これは一時的な対処法です。コードの改善を優先しましょう
これは一時的な対処法です。コードの改善を優先しましょう。スタックサイズを増やすことで一時的に回避できますが、根本的な解決にはなりません。
初心者がハマりやすい注意点
StackOverflowErrorを扱う際によくある間違いを紹介します。
注意点1: try-catchで捕捉できると思う
StackOverflowErrorをtry-catchで対処しようとすることがありますが、これは根本的な解決にはなりません。
// try-catchで対処しようとする(推奨しない)
try {
infiniteRecursion();
} catch (StackOverflowError e) {
System.out.println("エラーを捕捉!");
// これは良くない対処法
}
// コードを修正して根本原因を解消する(推奨)
// 終了条件を正しく設定する
// 再帰をループに置き換える
// 再帰の深さを制限する
try-catchで対処するのではなく、コードを修正して根本原因を解消することが重要です。終了条件を正しく設定する、再帰をループに置き換える、再帰の深さを制限するなどの対処法があります。
注意点2: OutOfMemoryErrorと混同する
StackOverflowErrorとOutOfMemoryErrorは混同しやすいですが、原因と対処法が異なります。
// StackOverflowErrorとOutOfMemoryErrorの違いを理解する(推奨)
// StackOverflowError:スタック領域の不足(主に再帰)
// OutOfMemoryError:ヒープ領域の不足(オブジェクト生成過多)
// 原因と対処法が異なる
// 両者を同じものと考える(推奨しない)
// どちらもメモリ関連のエラーなので混同しやすい
StackOverflowErrorはスタック領域の不足(主に再帰)、OutOfMemoryErrorはヒープ領域の不足(オブジェクト生成過多)です。原因と対処法が異なるため、違いを理解することが重要です。
注意点3: 再帰を使ってはいけないと思う
再帰そのものが悪いわけではありません。適切に使えば再帰は有用です。
// 適切に使えば再帰は有用(推奨)
// 終了条件を正しく設定する
// 深さが予測できる範囲で使用する
// ツリー構造の探索など、再帰が適した場面もある
// 再帰は危険だから使わない(推奨しない)
// 再帰そのものが悪いわけではない
適切に使えば再帰は有用です。終了条件を正しく設定する、深さが予測できる範囲で使用する、ツリー構造の探索など再帰が適した場面で使用するなどのポイントがあります。
StackOverflowErrorが発生したときのデバッグ方法を紹介します。
スタックトレースを確認する
Exception in thread "main" java.lang.StackOverflowError
at Example.methodA(Example.java:10)
at Example.methodA(Example.java:10)
at Example.methodA(Example.java:10)
...
同じ行番号が繰り返し表示されている場合、その行で無限再帰が発生しています。該当箇所を確認しましょう。スタックトレースを確認することで、問題箇所を特定できます。
カウンタを追加して再帰の深さを確認
public class DebugRecursion {
private static int counter = 0;
// ここでカウンタを追加して再帰の深さを確認すると
// StackOverflowError の原因を特定できます
public static void debugMethod(int n) {
counter++;
System.out.println("呼び出し回数: " + counter + ", n = " + n);
if (n <= 0) {
return;
}
debugMethod(n - 1);
}
public static void main(String[] args) {
debugMethod(5);
}
}
実行結果:
呼び出し回数: 1, n = 5
呼び出し回数: 2, n = 4
呼び出し回数: 3, n = 3
呼び出し回数: 4, n = 2
呼び出し回数: 5, n = 1
呼び出し回数: 6, n = 0
カウンタを使うと、再帰の深さと引数の変化を確認できます。終了条件に到達しているか確認しましょう。カウンタを追加して再帰の深さを確認することで、StackOverflowErrorの原因を特定できます。
まとめ
この記事では、JavaのStackOverflowErrorの原因と対処法について解説しました。再帰を正しく理解し、終了条件を適切に設定することが重要です。
この記事のポイント
- StackOverflowErrorはスタック領域が溢れたときに発生
- 主な原因は終了条件のない再帰呼び出し
- 終了条件を正しく設定することで解決できる
- 深い再帰はループに置き換えることを検討
- スタックトレースで問題箇所を特定する
- スタックトレースを読めるようになると、エラーの原因を素早く特定できる
エラーが発生したときは焦らず、スタックトレースを確認して問題箇所を特定しましょう。

