「エンジニアになれるなら、1社目はどこでもいい。まずは潜り込んで経験を積むことが最優先だ」
未経験からエンジニアを目指しているとき、そう自分に言い聞かせている方は多いのではないでしょうか。かつての私も、全く同じことを考えていました。
しかし、実際にキャリアを歩んできて痛感しているのは、「1社目でどんな環境に身を置くか」が、その後の年収、働き方、そして成長速度を恐ろしいほど左右するという現実です。
まずは、私のこれまでの経歴を簡単に紹介します。最初は遠回りをしてしまいましたが、そこから学んだ教訓が今のキャリアに繋がっています。
- 別業種:IT業界への漠然とした憧れからスタート
- 専門学校:1年間の学習を経て、ようやく内定を獲得
- 1社目:テスト業務がメイン。開発に触れられない日々
- 2社目:Web業界へ。ここでようやく本格的な開発を経験
- 現在:地方から都内の会社へ、フルリモート正社員として勤務
この記事では、テスト中心の現場からスタートした私の実体験をベースに、なぜ1社目の選択がそれほどまでに重要なのか、そして失敗しないための「判断基準」をどこに置くべきかを解説します。
なぜ「1社目」がその後のエンジニア人生を左右するのか
エンジニアの世界には「実務経験」という言葉がありますが、その中身は千差万別です。1社目で手にするカードが、次の転職の難易度を決めると言っても過言ではありません。
「何をしていたか」があなたの市場価値になる
転職市場において、企業の採用担当者が最も重視するのは「前職でどんな技術を使い、どんな役割を担っていたか」です。ここで身につく技術スタックや業務内容が、あなたの「エンジニアとしての専門性」の第一印象になります。

例えば、最初からモダンなWeb開発環境でコードレビューを受けながら育った人と、レガシーな環境でテスト仕様書を書き続けた人とでは、1年後の市場価値に数倍の開きが出ます。この差を後から埋めるのは、想像以上にエネルギーが必要です。

フルリモートへの距離感は、1社目で決まる
将来的に地方からフルリモートで働きたいと考えているなら、1社目の選択はさらにシビアになります。なぜなら、フルリモート案件は基本的に「自走できるエンジニア」を求めているからです。

Web系開発やAWSなどのクラウド環境での実務経験は、リモートワークとの相性が抜群に良いです。逆に、物理的な制約が多い現場や、手順書通りの作業がメインの環境に長くいると、リモートへの道はなかなか近づいてきません。
私の1社目のリアル:テスト中心の業務で見えたもの
私が最初に入社した会社では、業務の9割が「テスト」に関連するものでした。当時の状況を振り返ってみます。
毎日がテスト仕様書とエビデンスの繰り返し
主な業務は、誰かが作ったシステムが設計通りに動くかをチェックすることでした。テストケースに沿ってボタンを押し、スクリーンショット(エビデンス)を撮り、Excelに貼り付ける。これが私の日常でした。
もちろん、システムの全体像を理解したり、品質管理の重要性を学んだりする上では意味がありました。しかし、エンジニアとしての本分である「コードを書いて課題を解決する」という感覚は、そこにはありませんでした。
「これ、エンジニアと言えるのかな?」という焦り
入社して数ヶ月が経つと、同期やSNSでモダンな技術に触れているエンジニアの姿を見て、猛烈な焦りを感じ始めました。コードを書かない日々が続くと、専門学校で必死に覚えたJavaやSQLの知識が指先からこぼれ落ちていくような感覚になったのです。

成長スピードを鈍化させる「環境」の罠
テスト業務そのものが悪いわけではありません。問題なのは、成長に必要な要素が欠落している環境に長く留まってしまうことです。
「レビュー」がない環境の恐ろしさ
成長を加速させる最大のブースターは、優秀なエンジニアからの「コードレビュー」です。自分の書いたコードに対して、より良い書き方や、設計上の懸念点を指摘してもらえる環境。これがあるかないかで、1年後の実力は天と地ほど変わります。

テスト中心の現場では、コードを書かないため当然レビューも発生しません。間違った癖を直す機会も、新しい視点を得る機会も失われてしまうのです。
技術の選択肢が固定されている
歴史のある大規模システム(レガシー環境)の保守・テストを担当する場合、使われている技術が数年前、あるいは十数年前で止まっていることがあります。その環境でいくら「テストのプロ」になっても、最新のWebサービスを開発する現場でそのまま通用するスキルとは限りません。
1社目を選ぶときに、これだけは譲れない「判断基準」
これまでの失敗と成功から導き出した、未経験からエンジニアになる際の「会社選びのチェックリスト」をまとめました。以下の基準を満たしているか、面接で確認してみてください。
- 「実装タスク」に触れるまでの期間:半年以上テストだけの可能性はないかを確認。
- コードレビューの有無:開発チームにレビューの文化が根付いているか。
- 主要な技術スタック:Java, Python, PHP, JSなどのWeb言語や、AWS/GCPなどのクラウド環境。
- 質問・相談のしやすさ:若手エンジニアを育てる仕組み(メンター制度など)があるか。
面接で「1年目はまずテストから」と言われたら、具体的にどれくらいの期間で開発に携われるのか、過去の事例を深掘りして聞くことをおすすめします。曖昧な返答しか返ってこない場合は、注意が必要です。

まとめ:1社目はゴールではなく「加速装置」
エンジニア転職は、内定をもらうことがゴールではありません。そこから「どんなキャリアのロケット」に乗るかが本当の勝負です。
もし、今あなたが「1社目選び」に迷っているなら、少し立ち止まって考えてみてください。その会社で1年過ごしたとき、次の職場で通用するスキルは身についているでしょうか。自分一人で「これをやりました」と胸を張って言える業務内容は想像できるでしょうか。
就職後の成長速度を最大化し、将来の選択肢を広げるためにも、1社目の環境選びには妥協しないでください。最初の「踏み出し」こそが、あなたのエンジニア人生の景色を決定づけます。
この記事のまとめ
- 1社目で身につく技術と経験が、あなたの「市場価値」の土台になる。
- フルリモートを目指すなら、Web系開発やクラウド実務は必須級。
- 「レビューがあるか」「開発にいつ触れるか」を面接で確認すべき。
- 1社目は、あなたのエンジニア人生を加速させるための「投資」である。
